平成22年度 発掘調査情報
   
遺跡名 柿谷古墳・美濃山遺跡
所在地 八幡市内里柿谷、美濃山大塚
調査期間

2010/7/26~2011/1/13

調査面積 970㎡
調査原因 道路建設
主な遺構 古墳:木棺墓・甕棺墓・土壙
平安:溝
中世:溝
近世:溝
主な遺物 古墳:須恵器・土師器・胡籙・鉄鏃・刀子・鉄剣・轡・鎌・砥石
平安:須恵器・瓦
中世:瓦器・石造五輪塔・中国製白磁
   
 
 
柿谷古墳は、八幡市の南側、京田辺市との境界近くの、木津川流域の平地を見渡せる丘陵の先端部に位置します。周辺には、前方後円墳の美濃山大塚古墳や女谷・荒坂横穴群、京都府指定史跡の狐谷横穴群などがあります。今回の発掘調査は、一般府道八幡インター線道路整備促進事業に伴って実施しました。
 
木棺直葬の墓壙のうちの1基は、長さ4m、幅2mの墓壙内に、長さ2.9m、幅1mの組合せ式木棺を納めていました。木棺の木口板を粘土塊で押え、棺内西側から須恵器壺6点や高杯2点、鉄製の轡、鉄地金銅張胡籙や鉄鏃、棺東側木口付近からは、鉄剣1振、須恵器小壺2点、砥石2点等が出土しました。また、棺西側木口外側で、須恵器高杯1点や杯蓋2点、杯身3点が出土しました。
 
もう1基の主体部は、墳丘全体のほぼ中央に位置し、先述の主体部の下で検出したことから、先行する主体部と考えられます。墓壙は長さ4.8m、幅2mで、その中に、長さ2.8m、幅1mの組合せ式木棺を納めています。棺内西側から須恵器壺1点が出土しました。
墳丘の東側裾部付近には直径1.3mの土壙に、須恵器甕を埋納した甕棺墓があります。須恵器甕は、底部の破片がなく、人為的に打ち欠かれたものとみられます。甕内部から、須恵器短頸壺2点、高杯1点が出土しました。
 
墳丘盛土を除去して調査したところ、周溝を巡らせた一辺6mの小墳丘を検出しました。埋葬主体部は無く、古墳築造に伴う祭祀遺構の可能性が考えられます。出土遺物から6世紀中頃のものと考えられます。柿谷古墳および初葬の主体部の築造時期を示すと考えられます。
 
美濃山遺跡は弥生時代から奈良時代にかけての集落跡で、調査の結果、古墳時代前期の土壙や瓦片などが出土した溝を検出しました。