平成22年度 発掘調査情報
   
遺跡名 平安京跡左京四条一坊六・十一町、壬生大路
所在地 京都市中京区壬生坊城町48番地16
調査期間

2010/4/19~6/24

調査面積 350㎡
調査原因 庁舎建設
主な遺構 平安:井戸・柱穴
中世:溝・土坑
近世:井戸
主な遺物 平安:土師器・須恵器・瓦器・常滑甕・東播系甕・中国製青磁壺・緑釉・白磁・瓦・木製品(題籤軸・箸・曲げ物)
中世:土師器・瓦器
近世:陶磁器
   
 
 
この調査は、京都府中京警察署(仮称)庁舎建設工事に係り、京都府警察本部の依頼を受けて実施しました。調査地は、京都市電の旧壬生車庫内にあたり、平安京の条坊復原によると左京四条一坊六・十一町、壬生大路が想定されるところです。周辺では、弥生時代~中世にかけての多くの遺構・遺物が調査されています。
 
市電車庫や京都市交通局の建物跡によって攪乱を受けていましたが、平安時代後期~鎌倉時代後期の溝・井戸跡・土坑などを検出しました。残念ながら、壬生大路の路面や側溝は確認できませんでした。
 
今回検出した遺構の中で、特に井戸跡SE147からは、土師器、須恵器、瓦器、常滑甕、東播系甕・鉢、中国製青磁壺・白磁壺などとともに、木製品(箸・曲げ物の底など)、金銅製玉などが出土しました。これらの遺物は12世紀後半を中心としたもので、一部のものは火を受けていました。『保延六年返抄』(1140)と墨書された題籤軸(巻物の軸)が出土しています。
 
調査地近辺には、平安時代後期の白川法皇の近臣であった内蔵頭藤原国明の邸宅があったとされていて、邸宅周辺で大火が発生したことが記録されています。今回の調査で中国製陶磁器が出土したことや火を受けた多数の甕類が出土したことは、藤原国明の邸宅との関係が注目されます。