平成22年度 発掘調査情報
   
遺跡名 大内北古墳群他
所在地 京丹後市大宮町森本星ノ内、三重大内・大池
調査期間

2010/4/30~9/22

調査面積 1,200㎡
調査原因 道路建設
主な遺構 古墳:竪穴式石槨・箱式石棺・木棺
主な遺物 古墳:須恵器片 中世:土師器・須恵器・陶器・瓦器・中国製磁器・鉄製品(釘)・銅製品(鞐)・碁石
   
 
 
大内北古墳群は丹後半島を流れる竹野川上流部に位置し、狭隘な谷平野に派生する丘陵尾根端部に立地しています。調査は、大内北古墳群を構成する5基の古墳と周辺の3か所の古墳状の隆起を対象に実施しました。調査の結果、大内北3号墳からは多数の埋葬施設を検出しましたが、他の4基の古墳および3か所の古墳状隆起については古墳でないことがわかりました。
 
大内北3号墳は丘陵の隆起部を利用した南北23m、東西25m、高さ4mのいびつな円墳で、平野部からの比高差は50mを測ります。墳頂部は長軸12m、短軸8mの平坦面をなしており、墳頂部から竪穴式石室(1基)、組合式箱式石棺(4基)、木棺(3基)、小型箱式木棺(1基)と、それぞれ形式の異なる9基の埋葬施設(主体部)を検出しました。
 
竪穴式石室は、長さ3.4m×幅2mの墓壙内に、石室内法の長さ2m、幅0.5m、高さ0.3mを測ります。石室内には棺痕跡はなく、槍先(短剣か)と鑿状鉄器各1点が出土しました。
 
組合式箱式石棺は4基検出し、いずれも長さ2.2m、幅1.3m、深さ0.6m前後の墓壙内に、長さ0.6~0.7m、幅0.2m、深さ0.2m程の小規模な箱式の石棺を配するものです。副葬品としては、SX06の棺内から刀子1点が出土しただけでした。
 
築造時期は、出土遺物が鉄器のみではっきりしたことはわかりませんが、おおよそ4世紀後半~5世紀初頭頃と推定されます。大内北3号墳は、当地域における数世代にわたる有力者の家族墓と想定され、丹後地域の古墳時代前半期の様相を考えるうえで新たな資料を得ることができました。