金箔瓦
出土遺物ギャラリー
 
No.029
名 称
古瀬戸灰釉瓶(こせとかいゆうへい) 暫定登録文化財
時 代
14世紀前半
出土遺跡
山田館跡
所在地
福知山市大字大内小字大内山田
コメント

 中世墓の蔵骨器として出土しました。口頸部は火葬骨を納めるために故意に打ち欠かれています。肩部に櫛描きの圏線を廻らし、胴部には一面に菊花文を押印している華やかな瓶です。愛知県瀬戸市に所在する瀬戸窯は中世六古窯の一つですが、他の窯が焼締め陶器の生産が主であったのと違って、鎌倉時代頃から施釉陶器の生産を行ってきました。中国の白磁、青磁、青白磁、天目のような焼物の生産を目指したのでしょうか。この古瀬戸灰釉瓶は鎌倉時代末頃に生産されたと考えられ、中国製の青白磁瓶などに形が類似しています。
 古瀬戸は、付近の大内城跡からも出土しており、地元の有力者が所有していたものと考えられます。この灰釉瓶の所有者も地元の有力者で、死後、愛蔵の器に骨を納めたのかもしれません。また、瀬戸窯の製品が丹波地域の北の方まで流通していたことを物語る資料でもあります。

備 考
「近畿自動車道舞鶴線関係遺跡昭和57年度発掘調査概要」
(『京都府遺跡調査概報』第6冊 1983、報告書『京都府遺跡調査報告書』第10冊 1988)収録