金箔瓦
出土遺物ギャラリー
 
No.028
名 称
「西寺」銘平瓦(「さいじ」めいひらがわら)
時 代
平安時代
出土遺跡
美濃山瓦窯跡群
所在地
八幡市美濃山古寺
コメント

 八幡市美濃山瓦窯跡群では5基の瓦窯が見つかっています。7世紀後半頃に美濃山廃寺の瓦を生産するために操業を始め、その後、9世紀まで操業しました。その間には、美濃山廃寺だけでなく、南山城地域に所在する周辺寺院にも瓦を供給していました。
 「西寺」銘平瓦は、4号窯から出土しました。「西寺」銘は平瓦の凹面に押印されています。同じ印版で押印した瓦が京都市西寺跡から出土しています。本来は西寺造営のために作られた瓦であることがわかります。西寺は、平安京の中央を南北に延びる朱雀大路をはさんで東寺と対象の位置に建立された官寺です。
 この瓦は、4号窯を構築する材料として使われていました。そのため、この瓦が4号窯で焼かれたものかどうかは一考が必要です。4号窯で西寺の瓦を生産しており、その失敗品を修理に利用した、とも考えられます。また、他の窯で生産した西寺の瓦の破損品を窯の構築に使っただけで、4号窯では西寺の瓦を生産していない、とも言えます。さまざまなことを考えさせてくれる興味深い資料です。

備 考
「八幡インター線関係遺跡平成23・24年度発掘調査報告」
(『京都府遺跡調査報告集』第160冊 2014)収録